大打撃のスリランカ観光 大型連休直撃 連続テロで「予約9割減」

【シンガポール=森浩】スリランカの最大都市コロンボなどで起きた連続テロは、観光立国を目指してビザ要件の緩和などを進めていた政府にとって大誤算となった。日本からも大型連休で旅行者が訪れる予定だったがキャンセルが続出。巨額の対外債務に苦しむ中、観光業は貴重な外貨獲得手段だっただけに関係者は頭を悩ませる。

 「事件の影響で予約は約90%減になる見通しです」

 スリランカ大手旅行会社で日本担当の責任者を務める木村洋介さんは現状をこう説明する。同社は日本の大手旅行会社を中心に6月までの約200件の依頼を受けていた。7割は大型連休に集中していたが、ほとんどがキャンセルされる見通しとなった。

 治安への不安が残ることや日本外務省が危険レベルを不要不急の渡航をやめるよう呼び掛ける「2」に引き上げたことが影響した。木村さんは「スリランカ航空の成田発着便の増便決定などで追い風が吹いていただけに打撃は大きい」と話す。

 キャンセルは日本人旅行者だけに限らない。地元メディアによると、スリランカの昨年の観光収入は約44億ドル(約4910億円)だったが、同国財務省は最低でも30%の減少を見込む。回復には「2年は掛かる」との見通しを示した。

 スリランカの昨年の対外債務は530億ドル(5兆9千億円)でGDP(国内総生産)の7割以上。景気回復の足かせとなっている。2017年には対中債務返済に行き詰まり、南部ハンバントタ港の運営権を中国企業に譲渡した経緯もある。観光業への打撃が長引けば、苦しい経済状況がさらに悪化する可能性がある。